666文字百物語
24、女子校あるある?
あたしは女子校を選んだ。
高校受験の時には思ったんだ、絶対に男子の居ない世界にいきたいって。男子は興味がないからどうだか知らないけど、女子って男子がいるかいないかによって露骨に態度が変わるじゃない。共学中学なんか、もう最悪。男子は男子でいやらしいことばっかり考えてるし、女子も女子で誰が一番かわいいかとか、そんなくだらないマウンティングに夢中。そんな色恋沙汰の噂話には、もううんざり。
だからあたしは女子校を受験した。
女子ばかりの環境なら、男子絡みのトラブルもないし、男子の眼を意識してのケンカもない。……それになにより、あたしは女子校に通うような女の子が好きなのだ。例えるならば、一面真っ白の部屋で生活して、真っ白のレースがついたワンピースを着て、真っ白の仔犬を連れているような。夢を見過ぎ? そうかしら? でもきっと、女子校にはそんな子もひとりやふたりはいるはず。なんといっても生徒数が多いんだから。
……そんなあたしの期待は、見事に裏切られた。
男子の眼がないからって、みんなだらしない。女子独特の陰湿ないじめが蔓延する教室に、無視を決め込む教師。こんなはずじゃなかったのに。
「大丈夫?」
思わず立ちくらみを起こしたあたしを抱きかかえてくれたのは、かなり好みの美少女。ピンときたわ。
「ちょっと調子が悪くて」
「大変! 保健室に行きましょ」
思わぬところでラッキー。これよ、あたしはこんな展開を待っていたのよ。
でも保健室に着いてから、彼女の様子が変わった。彼女ははさみを手ににっこり笑った。
「調子が悪いなら、悪いところを取っちゃうのが一番よ。安心してね、ちゃんとホルマリン漬けにするから」
冗談を言っている眼ではなかった。
「あなたかわいいから、入学式から眼をつけてたの。ラッキーだわ」
彼女はますます笑みを深くした。
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