666文字百物語

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  85、ストーカーの正体 Pixivでは「486」  

 夜の街を、仕方がなく歩く。好きで出歩いてるわけじゃない。受験勉強のために塾に通い始めて、途中までは友達と一緒の道なんだけど、かなり自宅から遠い地点で別れてしまうのだ。おかげで今のあたしはひとりぼっち。夏だからまだいいけど、これが冬だったら最悪だ。暗くて何も見えないなんて、襲ってくださいって言ってるようなものじゃない。
 そして、最近のあたしの悩み事。
 どうやらたちの悪いストーカーに目をつけられたらしい。
 捨てたはずのゴミがあたしの部屋の窓からでられるベランダに開封した形跡を残したままで置いてあったり、合いようのスケジュール帳に乱暴な字であたししか知らないはずの秘密が書かれていたりした。他にも被害はまだあるけど、口に出すのもおぞましいから、省略。
 と、まあ、こんな風に、あたしはストーカーにつきまとわれて、大迷惑しているというわけだ。本当に、犯人を見つけたらただじゃおかないんだから。
 たしかにあたしは可愛いですよ。両親はもちろん、同級生の男子も、あたしが通りかかれば誰もが振り返って馴れ馴れしくしてくる。もしかして、犯人はこの中にいるんじゃないの?
 いやいや、もしかしてという可能性で考えるのならば、あたしに嫉妬した女子のセンも捨てがたい。さて、真相は?


「あーあ、またやったのね」
 母親は投稿した娘の部屋の掃除に来ていた。今日もひどい散らかりようだ。せめて開封したゴミ袋をベランダに出すのはやめて欲しい。
「いくら寝ぼけてるからって、これはないわよね……」
 娘のだらしなさに、母はため息をつくのだった。
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