666文字百物語
71、おまじない大好き! Pixivでは「223」
わたしは、おまじないを信じてる。
「あんたってホントに好きよね」
「だって、相手はサッカー部のキャプテンだよ? おまじないの力を借りなくちゃ」
わたしはあらゆるおまじないや風水のグッズを身に着けている。これさえあれば無敵! ……なのに。
「ごめん! 俺、好きな女の子が別にいるから!」
……え? 今なんて言ったの? わたし、ふられちゃったの? なんで? どうして? ちゃんとおまじないしたのに! ……そうだわ、数が足りなかったんだ。それに、わたしの想いも足りなかったんだ。もっと、もっと、効果のあるおまじないを沢山やらなきゃ!
「それで、この写真を何に使うの?」
写真部のエースは怪訝そうに訊いてきたから、わたしは適当に誤魔化した。写真はおまじないの基本アイテム。二三枚は欲しいところ。そしてこれを人型に切った紙に貼りつけて、赤い糸で結び付ける。ぐるぐる、ぐるぐる。これでわたしたちはずっと一緒。死ぬまで、ね。
わたしは教室でおまじないを終えると、彼を待った。鞄が教室にあるということは、戻ってくるということ。待ち伏せして一緒に帰る。
「――でさ、マジでヤバそうな女だったんだ」
「でも見た目は悪くないんだろ?」
「いや、今時おまじないマニアとかきついし」
彼の声がした。これってわたしのこと? ひどい、そんな風に言わなくてもいいじゃない。わたしはハッとして人型を見た。そこに巻いたはずの赤い糸はぷっつり切れていた。
「おい、おいしっかりしろ!」
そんな声が聞こえたのは、きっとわたしの幻聴だったんだと思う。
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