666文字百物語
148、モテてこそ青春! Pixivでは「?」
モテる奴とモテない奴の違いって何だろう。
眠くなるような古文の授業では、考えるのはいつもそのこと。進学率の高い男子校の推薦も蹴って、せっかく美人のセンパイが多いって噂の共学にしたのに、俺には彼女がいない。彼女どころか、友達もそれほど多くない。しかも、みんな漫研とか化学部とか、そんな地味な部活ばかりに所属してる。必然的に、俺もその色に染まる。あーあ、なんだよ。
「――でさ、誰かサンプルを使ってみない? 僕がずっと研究してきたんだ」
化学部所属の地味なひとりが言い出した。何の話をしていたんだ?
「僕は遠慮するよ。なんか副作用とか怖そうだし」
「なんの話だよ?」
「これね、あらゆる生物のメスを引き付けるフェロモンを凝縮した、香水のサンプルなんだけどね、誰も試したがらないんだよ」
「なんで? 女子にモテるんならいいじゃんか」
俺は相手から香水瓶を受け取って、数滴身体に落とす。
「これでモテるんだろ? あ―楽しみ!」
「……あくまでサンプルだってことを忘れないでね。安全性は一切保証しないから」
見られてる、女子に。痛いほどの視線を感じる。
「ねぇ、見えてるんでしょ? あたしと付き合ってよ」
「駄目よ! わたしが先に眼をつけたんだから!」
たしかに女子だ。それは間違いない。ただな――
「……なんで君らさ、身体が半透明なの?」
一応形式上の質問はしたものの、答えは聞いてない、聞きたくない。
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