666文字百物語

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  140、幽霊よりも怖いもの Pixivでは「255」  

 アタシ、高校生。JKだよ。好きなことはわかっちゃいるんだけどやめられない、未成年飲酒。本当はいけないって、禁じられてることってさ、逆にやりたくなるじゃん? それだよ。
 今夜も夜中は街に遊びに出かける。原宿、新宿、渋谷。どこもキレイなネオンがアタシを待ってる。
「ちょっとぉ〜飲みすぎじゃん?」
「そう? このくらい飲んだうちに入んないって! おにーさん、お代わり!」
「あんたってホントに酒好きだよね。今でこれなら大人になったらどうなるやら」
「余計なお世話だってば!」
 アタシは友達と一緒に渋谷のクラブで派手なバンドの奏でる音楽をBGMに酒を呑む。呑んで、呑んで、呑みまくる。だって、家に帰ると厳しいママの小言が待ってる。外でくらい羽を伸ばしたい。
 一緒にいる子たちは、案外真面目で、明日の宿題の話とかしてる。アタシは勉強はそれなりにこなせるから、この点では親に叱られたりしない。……ただし、こんな夜は不安になることがある。アタシには幽霊よりも怖いものがあるんだ。


 朝、目覚めると違和感を覚えた。……まさか。
「○○ちゃん、おはよう――って、あなたまた呑んだわね? それでまたやったのね?」
 それまで機嫌がよかったママの声が不機嫌になる。
 アタシは自分の下着がベッドカバーごと濡れていることは知っていた。この歳で、呑みすぎで、その――
「今日からまたしばらく外出禁止よ!」
 幽霊よりも、こんな事態が恥ずかしいし、アタシは怖い。
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