666文字百物語
139、女嫌いゆえペシミストなのか、ペシミストゆえ女嫌いなのか Pixivでは「461」
僕くらいの年頃にもなると、好きな女子や気になる女子のひとりやふたりやさんにんくらいはいるものらしい。
それを初めて聞いた時に思ったことは、「なんだ、そんなことか」くらいしかない。僕は女子には興味がないんだ。特に気が強い女王様系とか、甘えん坊で手がかかる姫と自称するような女子は現実でも、二次元だとしても、ムリ。誰がなんと言おうと、ムリなものはムリ。
どうやら僕は俗にいう女嫌いというやつなんじゃないかって思った。でも、かの天才・レオナルド・ダ・ヴィンチだって女嫌いだったそうだし、太宰治も女に恐怖心を抱いていたんだと思っている。『女嫌いの男がいたらそいつはバケモノだ。斬って捨ててやる』なんてことを言っていた、時代劇の小説もあったけど、いつの時代も例外や少数派、つまりマイノリティは生きづらいらしい。まったく、どこのどいつだ? 男は例外なく女が好きだって言い出した奴は。
そんな調子の僕だから、華やかと言われるような青春時代でも彼女と呼ぶべき存在はいない。それでよかった。
その時が来るまでは。
「転入生だ。みんな仲良くしてやるように」
新しく出会ったその女は、女々しくなくて、男みたいな顔をしていた。彼女ならば、好きになれる。そう確信した。
「慣れない場所だし、案内するよ」
きっかけをつくって、仲良くなろう。そう思っていた。なのに、彼女からは妙な違和感を覚える。胸が……よく見ると潰れている。
「あ、ばれた? 実はこの学校の女子制服に憧れてて――」
そんな理由で転入したのか? もういい。僕は一生彼女なしで過ごしてやる。どうせ僕が仲良くなれるのはこの程度なんだから。
Copyright (c) 2023 rizu_souya All rights reserved.
-Powered by 小説HTMLの小人さん-