666文字百物語
138、べっ、別に喜んでなんかいないんだからな! Pixivでは「450」
俺は、どうやら憑りつかれているらしい。
最初から怪しいと思ってはいたんだよ。都内のマンションが、こんな低価格なはずがない、絶対なにかあるって。でも貧乏人には選択肢などないわけで、結局そのまま住む羽目になった。しかし、俺の日頃の行いが良かったのか、霊が出ると噂の俺の部屋には霊は出たには出たが、これがまた憎めない奴だった。
「ほら! 掃除しといたわよ。べっ、別にあんたのためじゃないんだからね!」
そんなことを言いながら、俺が散らかした部屋を綺麗にしてくれる若い女、いや少女。彼女が噂の霊の正体だった。
「あんただって若いんだから、ちゃんと食べなきゃ駄目じゃないの! 餓死したらどうすんのよ! 別に、心配してるわけじゃないんだからねっ!」
……この言葉を聞いただけでもご理解いただけるだろうが、この少女の霊、ツンデレなのだ。しかもものすごく解りやすい、ステレオタイプのツンデレだ。
二次元のツンデレ娘にゾッコンの俺にとっては、理想の嫁ともいえる。なにせ霊なんだから、それ以上老けようがない。べっ、別に俺はロリコンとかじゃないんだからな! ただ一定年齢より上の女が受け付けないってだけであって! 少女のツンデレに弱いってだけであって!
だから俺は、今の生活がそれなりどころか、とても気に入っているんだ。でもこんなこと、本人に言えるわけがないだろ? だからしばらくはこうして、彼女のツンデレをじっくり味わっているわけだ。あぁ、幸せだ。
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