666文字百物語
120、自分、不器用ですから。 Pixivでは「418」
世の中って学校では平等というが、実際は全然そうじゃない。不平等が当たり前だ。
大多数が一番気にするであろう要素はおそらく容姿だ。見た眼さえ良ければ大抵のミスは許されるし、場合によってはそこがいいと言われる。可愛らしい女性がミスをしたとしても、「ドジで可愛いね」なんて評価につながる。だが、大抵の場合その手の女性はわざとそういうキャラを作っているのだ。
僕には姉がいる。そしてその姉こそが例に出したタイプの女性である。
姉はいつも僕に言う。
「あんたは不器用で不器量なんだから、もっと要領よくやらなきゃ駄目よ! かわいい後輩路線は潔く捨ててさ、頼りになる意外性を身につけたら? 好きな女の子、いるんでしょ?」
本当のことなので反論はできない。姉の言う通り、僕には好きな女性がいる。その女性もまた、姉のようなタイプなのだ。
「その手の女はモテるのに慣れてるからね。変化球よ」
僕は不器量の不器用だから、要領のいい生き方はできない。だから、手作りの弁当を持参し、彼女に渡した。
「ありがとう! アナタって意外と料理上手いのね! 外見は壊滅的なのに!」
「それは……貴女が好きですから。貴女のために作る料理はいつもよりうまく作れるんです!」
思い切って告白をした。しかし、彼女は甘くない。
「えー? 女に好かれてもなぁ。どうせならイケメンがいいな!」
イケメンがいいのならば、彼女が望むのならば、まずは男になるのがスタートラインか。自分、不器用ですから。そう胸を張って言えるように、僕はまず手術費用を貯めるために頑張ろう。
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