666文字百物語

モドル | ススム | モクジ

  100、百話目 Pixivでは「379」  

「――そんなわけで、それからというものの、そこでは殺された無念を晴らそうと、幽霊が出るんだとさ。はい、俺の番オシマイ」
 部活の部活合宿中に、ひょんなことから始めた百物語は、予想以上に盛り上がっている。女子マネージャーは声を揃えて「こわーい!」なんてキャーキャー言ってる。今まで話していた彼がろうそくを吹き消した。
「次の奴って誰だよ? 次でラストなんだからな! とびきり怖いのを頼むよ」
 僕だ。とびきり怖い話か。それほど自信はないんだけど、やるだけやるよ。
「……この合宿中にこうして夜中に怖い話をして盛り上がっていた若者がいて――」
「それってあたしらみたい」
「ねー!」
 女子が茶々を入れるが、気にしない。
「この地で死んだ霊の逆鱗に触れたんだ。自分が悲惨な目に遭って死んだのに、なんてのんきなんだって。それでその霊っていうのは、今でも成仏できずにここにいるんだって」
「ベタだなー。しかも全然怖くないし。……っていうかさ」
 そこはリーダー格の彼は初めて僕に気づいたかのようにこっちを見た。周囲の子も同様に。
「おまえって誰だっけ? うちの部にいたっけ?」
「今の話の霊ってさ、実は僕なんだ。虐められて、虐められて、その延長で死んだんだよ。ちょうど君にそっくりな男だったっけ」
 すると彼の顔色が変わった。
「……まさか、おまえは――」
 百物語は、最後のろうそくを消した時、何かが起こる。さぁ、僕の身には何が起こるんだろう。
モドル | ススム | モクジ
Copyright (c) 2023 rizu_souya All rights reserved.
 

-Powered by 小説HTMLの小人さん-