モノクロガールズカレイドスコープ ⚙ サイドストーリー
サイドストーリー49
「はじまったね」
私は彼女に話しかける。
返事が返ってくることはないけれど、きっと何かしら感じていることはあるのだろう。
誰よりも優しい人だから、これから起こることを考えて、少し心配になっているのだろう。人を愛する人は、人が悲しむことを嫌う人だから。
「それに今年は特別だものね」
返答は帰ってこないことはわかっている。
けれど言わずにはいられなかった。
「あの子がいるものね」
あの子は私にとっても、彼女にとっても、特別な子だから。いつもよりも気を遣ってしまうんだ。
「願い事が叶うことは必ずしもいい結果になるとは限らないって、私もいい加減学んだのよ」
たとえその権利が全員に平等に公平に与えられたとしても。必ずしもみんな仲良く幸せな結末を迎えるとは限らないことは思い知っている。
だから、もしも私の願いが叶うのならば願わずにはいられない。
「どうか、善き結末でありますように」
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